女性は働きにくい? 現代自動車の事例から見る韓国の労働環境

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現代自動車が自動車ショーで発表した新モデル「スターゲイザーX」=8月、インドネシア/Yasuyoshi Chiba/AFP/Getty Images

現代自動車が自動車ショーで発表した新モデル「スターゲイザーX」=8月、インドネシア/Yasuyoshi Chiba/AFP/Getty Images

より大きな問題

漸進的な改善にもかかわらず、韓国には依然として性別に基づく排除や低賃金といった問題が蔓延(まんえん)していると研究者らは指摘する。OECDのデータによると、米国における男女間の賃金格差が17%であるのに対し、韓国では女性の賃金は平均して男性の3分の1低い。

米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の研究者らは22年の報告書で、韓国では「女性の高等教育水準が平均を上回っているにもかかわらず」、こうした傾向が存在すると指摘した。

また韓国における女性の労働参加率は、男性よりも20パーセントポイント低く、その差は高所得国の平均よりも大きい。

報告書によると、「これらの格差と世界の経済先進国の中で最も低い出生率は、韓国の将来の経済見通しを低下させる」という。

韓国の出生率(女性1人当たりが産む子どもの平均数)は昨年0.78人に低下した。

女性の労働参加率と出生率の低下という組み合わせについて、PIIEの研究者らは「仕事と家庭の両立が難しく、女性がどちらかを選択するよう迫られる従来の仕事の性質を反映していることを示唆している」と指摘した。

PIIEが引用したデータによると、既婚女性、とりわけ子どもがいる女性は仕事に就いていない可能性が高い。

「子どものいない未婚女性は男性と同様に雇用される可能性が高い」と研究者らは述べている。

国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート筆頭副専務理事は、女性の労働力維持に向けた新たな措置を導入するよう韓国側に提案した。

ゴピナート氏は昨年9月に韓国で行われた男女平等フォーラムで、保育料の引き下げ、労働時間の短縮、より柔軟な働き方が重要だと語った。

「急速な高齢化と出生率の低下によって韓国の労働力は減少すると予想されている。経済成長を促進するには女性の労働参加率を高めることが極めて重要だ」(ゴピナート氏)

変革を求める声

活動家らは、問題の一つは、企業が女性の扱いについて透明性を欠いていることだと指摘する。

労働組合によると、公的機関は詳細な男女比データを開示することが法律で義務付けられているが、民間部門はそうではない。

3月の記者会見では、複数の労働者団体や活動家団体が企業に対し、採用活動に関しもっと率直になるよう求めた。

韓国女性労働者会(KWWA)で連帯運動マネジャーを務めるノ・ヘレナ氏によれば、現代自動車に毎年女性を何人採用しているかについての情報を求める文書を何度も送ったが、返答はなかったという。

CNNは現代自動車にデータを求めた。同社から提供された年次報告書によると、22年時点で女性の役員、マネジャー、エンジニアが占める割合は計6.4%であることが分かった。一方、同社の取締役12人のうち女性は2人のみだった。

こうした男女間の差異は公共部門でも見られる。

労働組合が3月に発表した声明によると、18年から22年にかけて国内の350の公共機関で採用面接を受けた男性の数は女性よりも1万8000人多かった。

ファンさんによれば、韓国のような文化的に保守的な社会では、男性中心の職業に就く女性に対する認識を変えるには、もっと多くのことを行う必要があるという。

「フォークリフトオペレーターと聞くと、男性を思い浮かべる人が多いだろう。女性が男性と同等に業務を遂行できることを示すことが不可欠だと思う」とファンさんは述べている。

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