「罪悪感のない」長距離フライト実現へ、脱炭素化に向けた航空業界の取り組みは

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A380が「持続可能な航空燃料(SAF)」を使った試験飛行を実施した/Alexandre Doumenjou/Master Films/Courtesy Airbus

A380が「持続可能な航空燃料(SAF)」を使った試験飛行を実施した/Alexandre Doumenjou/Master Films/Courtesy Airbus

電気とその先へ

電気を動力源とする静かな電動航空機による大西洋横断は、まだまだ遠い未来のことになりそうだ。フォーセット氏は、バッテリーのエネルギー密度と重量が課題だと指摘。「バッテリーの重量は使用しても減ることはなく飛行中ずっと変わらない。長距離飛行にバッテリーの使用を検討する場合、桁違いの変化を確認する必要がある。現時点では、これは未来の世代のものだと言えるだろう」

チナー氏は、従来型エンジンと電気エンジンの両方を搭載したハイブリッド電動航空機が早ければ40年に導入されるとみているが、乗客定員が最大100人までのリージョナル機に限定されると予測している。長期的には、広胴機も緩やかに電動化される可能性はあるが、より大きな影響をもたらすのは水素やSAFだろうとの見方を示している。

シェーファー氏も「今後数十年の間に電動航空機が実用化されるとしたら、それはニッチ市場向けで、航続距離の短いものになるだろう」と述べた。「大型機の場合、バッテリーの化学的性質の段階的な変化が必要で、それに対する刺激的な展望を打ち出していたいくつかの企業も突然消えてしまった。よって少し不安定な市場だ」と指摘したものの、いつかは実用化に成功するだろうと言い添えた。

「リチウム空気電池(従来のリチウムイオン電池より軽量だが、工学的な課題はまだ解決されていない)はジェット燃料に匹敵する比エネルギーを持っている。しかし、それらを手に入れるには長い道のりが必要で、50年までにはほぼ不可能だろう」(シェーファー氏)

それまでは、航空業界をより持続可能にするためには「より燃費の良いエンジンと航空機、運航の効率化」を組み合わせるべきだとフォーセット氏は指摘する。

「我々は規制当局と協力し、より効率的な飛行経路を可能にする技術に取り組んでいる」とフォーセット氏。より効率的な経路を選ぶことで、燃料使用量とそれに伴う排出量を5~10%削減できるはずだと説明した。長距離フライトに関しては、SAFを「最も大事なもの」と位置づけた。

フォーセット氏は、業界にはこうしたマルチソリューションでより持続可能なフライトのマーケティングを展開できるチャンスがあると言い添え、100%SAFを使用した航空機の実用化に向け準備が進められる中、マーケティング活動も同時に行われるべきだと述べた。

「今後5年以内にこの切り替えが行われると考えている。最初は100%SAFによる長距離のデモフライトが行われ、その後、定期便が就航されることになるだろう」とフォーセット氏は予測。「30年が我々の目標だ。サプライチェーン(供給網)もこれらの飛行をサポートする準備が整うはずだ」

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