米軍、シリアでトルコの無人機撃墜 NATO加盟国間で異例

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米軍がF16戦闘機でトルコの無人機を撃墜する事案がシリアで発生していたという/Daniel Slim/AFP/Getty Images/FILE

米軍がF16戦闘機でトルコの無人機を撃墜する事案がシリアで発生していたという/Daniel Slim/AFP/Getty Images/FILE

(CNN) シリア北東部ハサカに展開している米軍部隊にトルコの武装ドローン(無人機)が接近し、潜在的な脅威を及ぼすと判断した米軍が自衛上の措置としてF16型戦闘機に撃墜させていたことが7日までにわかった。

この問題の経緯に通じる複数の米政府当局者がCNNに明らかにした。米国とトルコは共に北大西洋条約機構(NATO)の一員。加盟国が別の加盟国のドローンの迎撃に踏み切る異例の事態ともなった。

今回のドローン接近で米軍に死傷者は出なかったとした。ロイター通信によると、トルコ国防省はドローンが同国軍の所属であることは否定した。

米国のオースティン国防長官は撃墜が起きた後、トルコのギュレル国防相と電話で協議。米国防総省のライダー報道官によると、長官は過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討支援のためにだけ米軍がシリア内にとどまっていることを改めて主張した。

その上で、トルコが抱える安全保障上の正当な懸念も理解し、ISIS打倒で米軍にリスクが生じないよう両国が密接な協調態勢を保つ重要性を強調したという。

米政府当局者によると、ドローンが近づいた場所には米軍とISIS対策で共闘する少数民族クルド人の武装組織「シリア民主軍」(SDF)もいた。米軍は接近を繰り返していたドローンを撃墜する前に12回以上にわたって警告も発したという。この警告の伝え方などは不明となっている。

トルコは5日、シリア北東部でクルド人勢力の複数の支配地域を空爆し、治安部隊の6人を含め少なくとも8人を殺害していた。トルコは自国内で分離独立を目指すクルド人の非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)の封じ込めに腐心しており、シリアやイラクのクルド人勢力もテロ組織として敵対視し、攻撃も加えている。

ライダー報道官によると、撃墜したドローンは米軍の配備場所近くに設定される「作戦規制地帯」内で「空爆を実施」した。これを受け米軍部隊は地下壕(ごう)への退避も強いられていたという。

米軍司令官は部隊から500メートル以下の距離までドローンが近寄ったため潜在的な脅威と認識し、F16機が撃墜したとした。「トルコが意図的に米軍を狙った兆候は最初になかった」ともし、「残念な展開になった」と話した。

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