「脳死」状態から革新者へ、ウクライナの戦争で変化したNATO

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擲弾(てきだん)を発射するウクライナ軍兵士=17日、ウクライナ東部ドネツク州/Anatolii Stepanov/AFP/Getty Images

擲弾(てきだん)を発射するウクライナ軍兵士=17日、ウクライナ東部ドネツク州/Anatolii Stepanov/AFP/Getty Images

(CNN) ロシアのプーチン大統領がロシア軍にウクライナ侵攻を命じて以来、当然ながら国際社会の反応はいかに地上戦を最善の形で終わらせるかに集中している。すなわち戦車やミサイルシステム、大砲といった従来型の兵器の供与とウクライナ兵の訓練だ。

2019年にフランスのマクロン大統領から「脳死状態」と警告された組織としては申し分ない。

ロシアのウクライナ侵攻は戦場だけにとどまらない。北大西洋条約機構(NATO)当局者は侵攻以前から、ウクライナや西側諸国を標的とした、従来とは異なる非正規戦争が増加していることに気づいていた。戦争が勃発して以降、ロシア政府は偽情報やエネルギー規制、インフラへのサイバー攻撃を全て武器化して、戦争を正当化し、侵攻を進めてきた。

NATOで緊急安全保障問題を担当するデビッド・ファンウィール事務総長補はCNNに、「最も広義の兵器とは、強制的に相手に言うことを聞かせるための手段のことだ。頭に銃を突きつけたり、脅迫したり、偽情報を流して寝返るよう仕向けたり、あるいは各家庭へのエネルギー供給を止めるという手もある」と語った。

こうした兵器の標的は敵側、今回の件でいえばウクライナに限定されない。「ロシア側は、ソ連が崩壊した後NATOが東方拡大はしないと約束したと主張している。我々は長年にわたって誤りを指摘してきたが、ご存じのようにこうした主張は絶えることがない。この手の誤情報になびいてしまう人々が一定数いる」とファンウィール氏は言う。

この手の攻撃で実社会に大きな支障が及ぶ場合もあるとファンウィール氏は言い、昨年ドイツの風力発電所を襲ったサイバー攻撃に言及した。周知のとおり、エネルギー安全保障はウクライナの戦争でも重要な点で、ロシアはエネルギーを武器にして西側諸国に対抗している。

戦争が勃発して以来、西側諸国の主な焦点は防衛費だ。NATO加盟国の大多数で長い間、拠出額が国内総生産(GDP)比2%という目標値をはるかに下回っているのは周知の事実で、長いことブリュッセルのNATO本部を悩ませている。

こうした状況の理由としてよく聞かれるのが、ソ連崩壊後の西側諸国は冷戦に勝利したと感じ、現状に甘んじてしまったという意見だ。

「侵攻から遠く離れた国々は、離れていれば安全だと感じ、高まる安全保障への投資の必要性をこのまま無視し続けられると思っていた」と言うのは、ロンドンを拠点とする英シンクタンク「王立国際問題研究所(チャタムハウス)」のシニアフェロー、キア・ジャイルス氏だ。

「GDP比2%の防衛費拠出は、防衛費として信用できる最低基準だと考えられていた。自分たちが危機にあると感じていない斜に構えた国々は、ずいぶん前から拠出率2%で防衛費は十分だと主張していた。だが実際は、仮にすべての国が2%の水準を満たしたとしても、具体的な用途が明文化されていなかった。そのため、備えや効果のほどを知る由がなかった」とジャイルス氏は付け加えた。

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