北朝鮮兵器、ロシア使ってもウクライナ戦況一変せず 専門家

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(CNN) ロシアを訪れた北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記とプーチン大統領との首脳会談では兵器取引の有無が大きな焦点となっているが、軍事専門家らは14日までに、仮に北朝鮮がロシアに弾薬などを供与したとしてもウクライナの戦争の行方を変えさせる可能性が少ないとの見方を示した。

英国のシンクタンク「国際戦略研究所」の防衛・軍事担当のジョセフ・デンプシー研究員は、ウクライナの戦争を長引かせ、ロシア軍の消尽しつつある装備品の補給につながるだけだと断じた。

別の軍事アナリストは、北朝鮮の弾薬がウクライナのロシア軍や前線に届く速度感について疑問を呈した。北朝鮮からロシア軍に輸送する場合、シベリア鉄道を使う必要性があるとし、極東ウラジオストクから西方に離れた首都モスクワまでの距離は長大な5700マイル(約9173キロ)以上になる地理的条件に注意を向けた。

米国防総省の国防契約管理局で以前、品質管理担当の検査役を務めていたトレント・テレンコ氏は、同鉄道の施設や装備は冷戦時代後期のもので耐久性の確保で深刻な問題を抱えていると説明。

冷戦時代に由来する輸送網に過度の負担をさらに加えるのは多くの面で非常にばかげた考えともし、「ロシアはまさにそれをやろうとしている」と説いた。同氏はロシアの兵站(へいたん)態勢を研究してもいた。

米国は先週、ロシアと北朝鮮が兵器交渉を「活発に進めている」とも明かしていた。取引が成立し、兵器がウクライナに持ち込まれた場合、北朝鮮は「代償を払うことになる」と制裁発動なども警告していた。

ロシアと北朝鮮との間の軍事協力の歴史は1950年代の朝鮮戦争の開戦時期にさかのぼる。金正恩氏の祖父の金日成(キムイルソン)とスターリンが両国の指導者だった時代だが、この関係は近年、国連安保理で拒否権を持つ常任理事国のロシアが北朝鮮への制裁実行を支持した経緯もあり後退していた。

しかし、この両国間の長い歴史は保持や備蓄する兵器で多くの共通性も醸成し、ロシアにとっては役に立つ付随的な効果も生まれていた。

米軍の旧太平洋軍の統合情報センターで幹部職を務めたこともあるカール・シュスター氏は、北朝鮮は「重工業兵器と呼べるものが得意」と指摘。「砲門や弾薬は非常に良質で、ロシアの設計とかなり似通っている」と述べた。

韓国国防研究院の研究員もこの分析に同意し、「北朝鮮の152ミリ砲門の弾薬や122ミリの多連装ロケット砲の弾薬はロシア軍が即座に使えるだろう」とみている。

ロシアはこの見返りとして北朝鮮の様々な要望事項に応えるだろうとし、大気圏再突入の技術、潜水艦搭載の弾道ミサイルの発射能力の改善、衛星監視能力での協力に加え、衛星打ち上げの支援さえ含まれる可能性があるとした。

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