中東へ移る世界の関心、ゼレンスキー氏は欧米にウクライナ支援訴え

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北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長とともに記者会見に応じるウクライナのゼレンスキー大統領(左)=11日、ブリュッセルのNATO本部/Virginia Mayo/AP

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長とともに記者会見に応じるウクライナのゼレンスキー大統領(左)=11日、ブリュッセルのNATO本部/Virginia Mayo/AP

(CNN) ベルギー首都ブリュッセルを訪問したウクライナのゼレンスキー大統領が11日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長に案内されて記者団の前に姿を現した時、その顔からはすぐに笑みが消え、険しい表情に変わった。ロシアのウクライナ侵攻開始以降、ゼレンスキー氏がNATO本部を訪ねるのは初めてだった。

だが今回、ゼレンスキー氏はロシアのウクライナ侵攻以上に注目を集めている危機に触れざるを得なかった。イスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃だ。

ゼレンスキー氏は報道陣に「我々は戦争のただ中にいる。テロ攻撃(を受けること)が何を意味するかは理解している」と述べ、ロシアとハマスを同列視した。

さらに「開戦当初のことは覚えている。大勢の人が亡くなった。孤立無援ではないことが重要だった」と言及。「従って、NATOの指導者に対する私の提案は、イスラエルに行って国民を支援してほしいということだ」と語った。

ゼレンスキー氏のブリュッセル訪問に合わせ、ウクライナに軍事支援を行う54カ国で構成される「ウクライナ防衛コンタクトグループ」の最新会合も開催された。ゼレンスキー氏が対面でこの会合に参加するのは初めてで、ウクライナにとって支援流入の維持がいかに差し迫った問題なのかが浮き彫りになった。

夏以降ゆっくりと進むウクライナの反転攻勢は開始から数カ月が経過しており、冬に入っても続く公算が大きい。ロシアは以前にも冬の到来に乗じてエネルギー施設を攻撃目標に据え、寒さを利用してウクライナを降伏に追い込もうと試みた。

「ウクライナ疲れ」が国際的に浸透し始め、世界の関心が中東に移る中、ウクライナは極めて重要な時期を迎えている。

煙が立ち上るパレスチナ自治区ガザ地区の町=11日
/Ali Jadallah/Anadolu/Getty Images
煙が立ち上るパレスチナ自治区ガザ地区の町=11日 /Ali Jadallah/Anadolu/Getty Images

ハマスによる7日の奇襲攻撃は世界に衝撃を与えた。その影響ははるか遠方のウクライナ東部でも感じられた。

ウクライナ東部ドンバス地方は7日午前、落ち着かない沈黙に包まれた。フロザ村への5日夜のミサイル攻撃で住民の5分の1が亡くなった後、戦争が予想通り小康状態を迎えただけなのかもしれないが、何かが違うように感じられた。

ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍とウクライナ軍の衝突は7、8両日も続いたとされるが、絶え間ない砲撃や多連装ロケット発射装置の白煙は見られなかった。

1年半あまり前に戦争が始まってから初めて、ウクライナにほとんど、あるいは全く関心が払われない状況が生まれた。

ゼレンスキー氏はNATO議会に向けた9日のビデオ演説で、「ここ数日は中東に関心が集中している」と指摘。「テロリストがイスラエルで行ったことは誰も忘れることができない」と言い添えた。ウクライナがメディアの見出しを独占していないことを認めた、潔くも難しい発言だった。

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