容赦ないロシアの「肉弾攻撃」、数で劣るウクライナ軍をすり減らす

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前線のウクライナ兵は熱望する西側の武器ではなく、ソ連製の兵器でロシア軍に対峙する/Joseph Ataman/CNN

前線のウクライナ兵は熱望する西側の武器ではなく、ソ連製の兵器でロシア軍に対峙する/Joseph Ataman/CNN

ウクライナ・アウジーイウカ近郊(CNN) 激戦地となった、前線にまたがる小さな町アウジーイウカ。今もなおウクライナ側がかろうじて掌握しているものの、3方からロシアの兵士と大砲に包囲されている。

ロシア軍からの砲撃で、町は跡形もない状態だ。

コンクリートの残骸は、ここが町一番の高層建築物が並ぶエリアだったことを示し、瓦礫(がれき)の山から当時の面影がそこはかとなく漂ってくるかのようだ。教会の屋根にあった十字架は爆撃で2つに折れ、非難がましくロシアの前線を指している。

廃虚の中でロシアとウクライナの部隊が衝突し、ドローン(無人機)や場合によっては戦車の餌食になっている。双方の死者はかなりの数にのぼるが、攻勢をかけるロシアは包囲されたウクライナに対して次々兵士を送り込み、とりわけ多くの死者を出している。

CNNとの取材に応じたコールサイン「ベス」というウクライナの狙撃兵は、そうしたロシアの攻撃を「肉弾戦」と表現した。ちなみに「ベス」とはウクライナ語で悪魔を意味する。その兵士が回想する戦闘状況はまさに地獄絵だ。戦死した兵士が「凍ったままただ横たわっている」。オメガ特殊軍に属するその兵士は、ウクライナ東部ドネツク地方の前線から数マイル手前の住宅でこう語った。

「戦死した兵士を誰も撤収しない。放置したままだ」とその兵士は語った。「とくにこれという任務も与えられず、ただ放り込まれて死んだかのようだ」

この町でウクライナ軍のドローン偵察部隊の指揮を執る「テレン」という司令官は、「我々が1日に40~70人の兵士を殺したとしても、向こうは翌日には補充兵を送り込み、攻撃を続けている」と語った。

18カ月におよぶアウジーイウカ周辺の戦闘で、第110独立機械化旅団のパイロットは少なくとも1500人のロシア兵を殺害したという。だがいまだにロシア兵が送り込まれてくる。

ウクライナ側の戦死者数は表に出ないよう厳重にガードされているが、戦闘は混乱をきたしていると思しきロシア側と、装備や兵士は限られているものの鋼の意志で挑むウクライナとの消耗戦と化している。

昨年12月に前触れもなくアウジーイウカを訪問したウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、この町での戦闘を「猛攻撃」と称し、あらゆる意味で「戦争全体の流れを決める」戦いになるだろうと付け加えた。

見たところウクライナの指導層は2023年のバフムート防衛、およびその後の陥落に対する批判を意識し、戦略的意義の薄い地域を保持するべきか、兵士の命を守るべきかという明確な緊張状態を認識している。

「ほんのわずかでも我が国にとっては貴重な領土だ」とウクライナ軍のバレリー・ザルジニー総司令官は語ったが、アウジーイウカでは「少しでも派手な戦闘を思わせる行為は一切必要ない」

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