中国企業の地図にイスラエルの国名見当たらず ガザ衝突が激化の中

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イスラエルとパレスチナの記載がない中国ネット企業のモバイルアプリの地図/Amap/Baidu

イスラエルとパレスチナの記載がない中国ネット企業のモバイルアプリの地図/Amap/Baidu

香港(CNN) 中国の大手企業が提供するインターネット上の地図にイスラエルの国名が載っていないことがわかった。中国政府はこれに関する質問に、当局が発行する公式な地図にはイスラエルの名前が記載されていると回答した。

同国の検索大手、百度(バイドゥ)とアリババ傘下の高徳地図(Amap)が提供する人気モバイルアプリの地図には、イスラエルの国名が見当たらない。近隣国でイスラエルと同等か、それより小さい面積のキプロス、レバノン、クウェートなどの国名は表示されている。

これらの地図には「パレスチナ」の名前もない。中国はパレスチナを1988年に国家承認し、公式な地図にはイスラエルと並んで明記されている。

百度や高徳地図は国営ではないが、厳しく監視されたオンライン環境で運営されている。

中国外務省の汪文斌報道官は10月31日の定例記者会見で、「中国はイスラエルと正常な外交関係を持ち、当該国は中国の管轄当局が発行する標準地図に明確に記載されている」と述べた。

イスラエルがイスラム武装組織「ハマス」から10月7日に攻撃を受け、ハマスとの戦争に突入して以降、国名の表示がないことに注目が集まるようになった。

国名の非表示が新たな動きなのかどうかは不明。

百度の広報担当者はCNNの取材に、「スペースが限られているときは、地図に一部領域の名称や旗が示されない可能性がある。ユーザーは地図の検索機能を使うだけで、対応する国や地域を見つけることができる」と説明した。

CNNはアリババにもコメントを求めている。

中国は自国の国境や領有権の主張に関しては、世界中の地図に神経をとがらせていることで知られる。近年では国際企業に対して、台湾を中国の領土として表示しない地図の撤回や謝罪を強く求めてきた。

一方、中国が争いのある領有権の主張を正当化するために作成した地図を巡っては、近隣国から非難が集まる状況となっている。

ハマスの攻撃ではイスラエルの一般人を中心に約1400人が死亡。それに対してイスラエルは空爆や地上作戦でガザを攻撃し、地元当局のデータによれば子ども約3000人を含む8000人以上が死亡した。

中国は声明でイスラエルの対応を批判する一方、ハマスを名指しで批判していない。停戦を呼びかけつつ、独立したパレスチナ国家創設を認める「2国家解決」案が紛争状態を抜け出す「根本的な方法」だと強調している。

中国はイスラエルからハマスを非難していないと批判を受ける中、政治的な調停者として立ち回ろうと中東に特使を派遣した。特使はこの2週間近くでカタール、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、ヨルダンを訪問したが、最後にイスラエルを訪問するかは不明。

中国は最近、中東への関与を深めているが、この地域で長年圧倒的な力を示してきたのは米国だ。一部の専門家は、地政学上のライバルである米国がイスラエルへの断固たる支持を示す中、中国はアラブ世界との連帯を狙ってこうした外交行動に出ているとの見方を示し、紛争解決で中国が何か役割を果たせるのかを疑問視する声が出ている。

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